なお、話題の企業館は、一個しか入っていません。予約は取れなかったし、行列がひどかったからです。最後に三菱館に入ったのみです。
さて、ドイツ館に入ったが、1時間以上行列を作るほど面白くなかった。大仰にジェットコースター風にしなくても見せられる程度の展示しかしてないし、しかも生物から学ぶ新技術と環境問題は、別問題のような気がする。
発展途上国は、環境問題を論ずる以前の国々であり、それを口やかましく論じることはあるまい(環境問題は、先進国資本によってもたらされているので、先進国が殖民主義以来の責任を取って、それらの国に肩代わりして解決すべきとも言える)。が、この万博の閉幕と同時に*リトルワールドの存続が危ないとも言われており、環境問題を論じないなら、万博に出品する意義があったのだろうか。少しでもリトルワールドなど、純粋な民族文化の展示場に出資して欲しかった気がする。料理もリトルワールドに比べて割高で、量が少ないし。発展途上国のパビリオンのトップバッターとして入ったのがコーカサス館だが、コーカサスシチューって要は単なるボルシチじゃないかよ。建物はアゼルバイジャン・グルジア・アルメニアの順に部屋が振られているが、アルメニアとアゼルバイジャンの部屋が隣り合わないのは、両国間に領土紛争を抱えているからである。アゼルバイジャン室には、ナヒチェヴァンの惨状が写真で示されているが、これでは一体何の為に両国共同でパビリオンを出しているのか分からない。
コーカサスなどCIS(独立国家共同体。旧ソ連15カ国の連絡会議。本部はベラルーシにある)の親玉ロシヤ館にも行った。ロシヤ語の表記が無いので、エキゾシティに乏しくなってしまった。東西統合以降ロシヤ等は何か、元気をなくしてしまった気がしないでもない。展示されているスペースシャトルが、予想よりあまりに小型で、しかも本当に飛行経験があるのかどうか怪しい代物だったのにはガッカリさせられた。
アフリカ館にも行ったが、共産圏亡き後も、アンゴラやブルキナ・ファソなど色々な国々が「赤旗」を揚げているのは、どこか時代錯誤な、場違いな感じがした。このような「最後の共産主義国家」が見られるのが、万博のせめてもの楽しみであろうか。赤旗を掲げ、独裁者が威張り、少数民族を処刑し、しかも中華人民共和国やヴェトナムの「中身は資本主義」ですらないのは、やはりアフリカが未だに成長していないことの証左なのであろう。一体そういう国に、一部の共産主義オタク以外に対し、万博に出る魅力があるのだろうか。実際にはそのパビリオンたるや民芸品を売るだけの場と化していて、売り物以外に特段の展示をしているようには見えなかった。
フランス館が3本の指に入るか。環境問題を取り上げていて、大音響と映像で見せられ、怖かった。会場にはまた、4台の端末からなるコンピューターがあって、「市民や企業、政治家などのどれかになったつもりで、環境的な議題に答えて下さい。その町がどうなるかシミュレートします」という趣旨のゲームだった。4台のコンピューターは、それぞれ市民・企業・政治家などを意味していて、選んだ台の役を演じるのである。議題が4つくらいあって、その中から一つを選び、考え方を選択肢の中から選ぶ、という訳で、答えが物凄い沢山あるのだ。その上しかも、他の台の出した答えによっても、4台のコンピューターから見ることができるメインスクリーンに映される結論が変わってくる。ただこの企画、面白いことは面白いが、ゲームのプレー時間が物凄く長く、どうかすると会場を回る日程もおかしくなってしまう。
イタリア館は、海の底にあったあるローマ時代の像を復元して、出展していた。日本に出展するのが最初で最後なので、見られてまあ運がいいと言えよう。
メキシコ館は一番良かったと言える。前衛芸術とメキシコの自然文化を平行して展示するやり方は、一般の博物館でも使える手法である。これを見て、ヘンリク・シェリング(ポーランドのヴァイオリニスト。メキシコを好み、メキシコで客死した)の様にメキシコへ行ってみたいと思った人もいるのでは?
インド館は、映画の内容がそれほどでもなかったので評判倒れ。ブータン館は、鎖国同然の同国が展示をしているだけでも見られてラッキーか。下記「セブン・イヤーズ・イン・チベット」の世界が、中華人民共和国やインドに併合されず、弾圧されずに済んだようである。展示を見れば仏教=政府、という構図もお分かりいただけよう。モンゴル館は、有名な「塩をかけて食べるアイス」のパビリオンで、結構面白かった。売ってあった朝青龍の切手が、モンゴル本土のロシア文字表記になっていた。アジアの諸パビリオンでやはり一番評判だったのが韓国館で、3Dアニメが技術的に良かった。さすが日本からの動画下請けを多く受注していて、これまでの技術蓄積が為された格好。今や日本は、**芸能で韓国に負けている感があるが、世界で評価されていると言われる「ジャパニメーション」も相当危ない立場にあるなあと思いました。ただしストーリーが、自然保護を全部を訴えるものというよりは、むしろ環境問題の一部であり、極端な事例である「核の冬」の悲劇を言っているような気もしたので、万博の趣旨と0.5ミリほどのズレを感じないでもない。セリフがないので全世界向けになっているし、内容は悪くないが。
企業館は、三菱館の「もしも月がなかったら?」しか見ていない。仮説も大胆で、まあまあ良かったかな。ちなみにここへ来る途中、企業館が沢山並んでいたが、JR東海館だけがバカみたいに空いていた。確かに中央リニアモーターカー計画は環境とは脈絡がないし、実現もしそうにない。企業館ではダントツのつまらなさを誇るというが、鉄道業そのものの企画力を疑いたくなる話である。
それにしてもどの企画においても、「これのどこが名古屋なのさ?」と思われた。あるいは、環境博の趣旨も分かっておらず、単に国家の威信だけで出品している国も有る(国家の威信と言うなら、イラク戦争等、恥ずべき流血に積極的に手を貸す国は来ない方がいいだろう)。最も、得体の知れない独裁国家の小国まで糾合するだけの力を名古屋が手に入れた、という見方はできないでもない。
帰りはリニモだったが、リニアモーターカーと環境も、今一つ脈絡がつかめない。このリニモのおかげでバス路線が町民に悪い方に再編されてもしまった。大体、このリニモのおかげで、東山線の延伸計画は完全に破棄されてしまう。将来万博閉幕後、藤が丘で乗り継いで地下鉄とリニモの両方の料金を払い、長久手町から名古屋市内に人が乗りつけるであろうか。今から不安である。ハッキリいって名古屋の発明したもので最も優れたもの、基幹バスでも万博線を作っておけばよかった気がする。
*リトルワールドには、チベットから逃亡したラマ僧が描いた曼荼羅もあるという。中華人民共和国のチベット弾圧は「セブン・イヤーズ・イン・チベット」にあるとおりだが、日本は中華人民共和国と国交を持っているばかりでなく、金銭的な理由であれ政治的な理由であれ、リトルワールドを消滅させ、中華人民共和国にとって都合の悪いものを消すというのなら、自ら進んでチベット仏教の痕跡を消そうというのなら、100万といわれる中華人民共和国のチベット虐殺の肩を持ったことになるはずである・・・
**さわやかな「ヨン様」が流行るのと対比して、日本の芸能はドラマも腐敗した恋愛のドロドロしたものが多く、芸能人も清潔な感じがしないという指摘がある。